世界中どこでも詐欺は存在しますが、残念ながらメルボルンも例外ではありません。観光客や留学生、そして新しく移住した日本人が狙われるケースは少なくなく、被害に遭うと大きな損失につながることもあります。特に日本人は「断りにくい」「人を疑わない」と思われがちで、ターゲットになりやすいと言われています。ここでは、実際にメルボルンで起きている詐欺の手口と注意点を紹介します。
1. ATM・カードスキミング
ATMに特殊な機械を取り付け、カードを差し込むと磁気情報を読み取られてしまう詐欺です。さらに小型カメラを設置して暗証番号(PIN)を入力する様子を盗み見られることもあります。盗まれた情報は複製カードの作成や不正利用に使われ、大きな被害につながります。
メルボルン市内でも過去に実際の事例がありました。ANZ銀行の街中のATMで不正装置が発見され、利用者が気づかずカード情報を抜き取られたケースが報道されています。銀行や警察は利用者に注意を呼びかけ、機械に不審な部品が付いていないかを確認するよう案内しました。

2. 賃貸詐欺
「格安で良い部屋がある」とオンラインに掲載し、まだ内見をしていない段階でデポジットや前家賃を振り込ませるケースがあります。写真は本物の物件から無断でコピーされていることも多く、実際には存在しません。特に日本から来る留学生や新規移住者は現地で確認できないため狙われやすいです。よくあるのは「今すぐ申し込まないと他の人に取られる」と急かす、家賃が相場より極端に安い、内見はできないと理由をつける、送金先が個人名義や海外口座などのパターンです。
メルボルン市内でも実際に学生が数千ドルを送金した後、現地に行ったら物件自体が存在しなかったという被害が報告されています。契約前には必ず現地で内見し、支払いは信頼できる不動産会社や管理会社の公式口座を通じて行いましょう。
3. 修理業者の高額請求
水道のトラブルや鍵をなくしたときなど、緊急で業者を呼んだ際に相場の何倍もの料金を請求されることがあります。特に夜間や休日は「緊急対応料」を理由に高額を上乗せされやすく、作業後に「追加の部品代がかかった」と後から言われることもあります。
オーストラリアでは正規の業者であればABN(事業者番号)があり、作業後は必ず領収書を出します。事前に見積もりを確認せずに依頼するとトラブルにつながりやすいため、複数の業者に問い合わせて料金を比べることが大切です。信頼できる業者かどうかはGoogleレビューや口コミでも確認できるので、急いでいても冷静にチェックしましょう。

4. 偽の請求書
病院や電気会社を装い、「未払いがあります」とメールや郵送で通知を送り、指定された口座に振り込ませる手口です。請求書のデザインやロゴは本物そっくりで、一見すると正規のものに見えるため、慌てて支払ってしまう人も少なくありません。実際には詐欺師の口座に直接送金するよう仕向けられており、一度振り込むと取り戻すのは困難です。
被害を防ぐには、必ず公式のマイページやアプリから支払い状況を確認し、請求書番号や金額が一致しているかをチェックしましょう。問い合わせる場合も、請求書に記載された電話番号ではなく、必ず公式サイトに掲載されている番号から連絡することが大切です。
5. 荷物配達詐欺
「再配達はこちらから」というSMSやメールで偽サイトに誘導し、クレジットカード情報や個人情報を盗む手口です。特にAusPost(オーストラリア郵便)を装ったものが多く、メッセージの文章やロゴも本物そっくりなので注意が必要です。最近はスマートフォン利用者を狙ってリンクをタップさせ、偽のログイン画面で情報を入力させるケースが増えています。
SMSに記載されたリンクは開かず、必ず公式アプリや配送会社の追跡ページから確認することが重要です。不審なメッセージを受け取った場合は削除し、どうしても気になる場合は公式サイトに掲載されている連絡先から問い合わせるようにしましょう。
6. 投資詐欺
「必ず儲かる」「短期間で倍になる」と甘い言葉で仮想通貨や株式投資に誘う詐欺です。SNS広告や投資コミュニティを装ったサイト、さらには知人のアカウントを乗っ取って送られてくるメッセージから始まることもあります。最初は少額の利益を見せて安心させ、さらに大きな金額を投資させた後に連絡が途絶えるのが典型的な手口です。
オーストラリア政府の消費者庁(ACCC)の公式サイト「Scamwatch」でも頻繁に注意喚起されており、実際に数万ドル単位の被害が報告されています。安全のためには「必ず儲かる」という言葉を信じないこと、そして投資先が正規に登録された金融業者かどうかを必ず確認することが重要です。
7. ローン・金融関連詐欺
「低金利で融資します」「学生、又は仕事をしていない方でも即日借りられる」といった魅力的な広告を出し、申し込みをした人に前払いの手数料や保証金を要求して持ち逃げする手口です。実際には融資は一切行われず、お金だけを失ってしまいます。特に留学生やワーキングホリデーで資金に困っている人が狙われやすく、「今すぐ振り込めば今日中に入金できる」と急かしてくるのが典型的な特徴です。金融機関が前払いで費用を求めることは基本的にありませんので、少しでも怪しいと感じたら即座にやり取りを中止しましょう。

8. ITサポート詐欺
パソコンやスマートフォンの画面に突然「ウイルスに感染しました」「サポートセンターに今すぐ連絡してください」という警告が表示され、電話番号やリンクに誘導される詐欺です。連絡すると偽のサポート担当者につながり、料金を請求されたり、リモートアクセスを許可してしまい銀行口座や個人情報を盗まれるケースがあります。実際には機器に問題はないことがほとんどで、表示されている警告自体が偽物です。こうした画面が出ても慌てず閉じ、公式のセキュリティソフトやサポート窓口を利用するのが安心です。
9. 恋愛詐欺
出会い系サイトやSNSを通じて親しくなった相手が、しばらくやり取りを続けて信頼関係を築いた後に「病気で入院した」「家族がトラブルに巻き込まれた」といった理由で送金を求めてくるケースがあります。特に「海外で働いている軍人」や「大企業の駐在員」といった肩書きを名乗ることが多く、相手のプロフィールや写真も一見すると本物らしく見えます。最初は丁寧で親切なやり取りをして信頼を得ようとし、相手が心を許したタイミングで急にお金の話を持ちかけてくるのが典型的な流れです。
実際には存在しない人物や、詐欺グループが複数人で操作しているケースが多く、一度お金を送ってしまうとさらに追加で請求されることもあります。会ったことのない相手に送金するのは非常に危険であり、どんなに信頼できるように思えても金銭的なやり取りは絶対に避けることが重要です。

10. 求人詐欺
「高収入」「すぐに働ける」といった好条件をうたった求人広告で応募者を集め、面接や契約の前に「登録料」「研修費」「制服代」といった名目で先払いを求める手口です。実際には仕事自体が存在しないか、支払ったお金を持ち逃げされて終わるケースがほとんどです。特に英語に不安のある留学生やワーキングホリデーの人がターゲットになりやすく、「簡単な作業で時給30ドル以上」といった非現実的な条件で誘われることがあります。
被害を防ぐには、正規の求人サイトや信頼できるエージェントを通じて応募することが基本です。求人条件が相場から大きく外れている場合や、面接前にお金を要求してくる場合は詐欺を疑いましょう。
11. 偽チャリティ
大規模な災害や地域イベントの後に「被災者を助けるため」「地域の子どもたちのため」といった名目で寄付を募る団体の中には、実際には詐欺目的で集金しているケースがあります。街頭で募金箱を持って立っていたり、SNS広告で感情に訴える写真や映像を使って寄付を呼びかけたりするのが典型的な手口です。善意につけ込み、寄付金を私的に流用するため、寄付者は被害に遭ったことに気づかないまま終わってしまうこともあります。
トラブルを回避するためには、その団体が認定されたチャリティかどうかを事前に調べることが大切です。オーストラリアではACNC(Australian Charities and Not-for-profits Commission)という公的機関で団体の登録状況を確認できるので、少しでも不安を感じたら必ずチェックしましょう。
12. 街中でのお金ねだり
駅前や繁華街で「財布を落とした」「電車賃がなくて帰れない」といった言葉で助けを求めてくる人がいます。数ドル程度ならと渡してしまう人も少なくありませんが、実際には同じセリフを繰り返して通行人からお金を集めるのが日常になっている人も多いのです。中には子ども連れや学生風の格好で同情を誘うケースもあります。
本当に困っている人であれば、駅員や警察に相談すればサポートを受けられます。現金を渡すとその場では「助けたつもり」になれますが、結果的に同じ行為を助長してしまうことになりかねません。親切心は大切ですが、こうした状況では現金を渡さず、必要であれば「駅員に相談してみてください」と声をかける程度で十分です。

13. 電話やメールでの詐欺
銀行やAmazonを名乗り「アカウントがロックされました」「不正利用がありました」といったSMSやメールが届くことがあります。デザインは本物そっくりで、リンクをクリックすると偽サイトに飛ばされ、口座番号やパスワードを入力させられる仕組みです。
また、日本語で「税金の未払いがある」「移民局からの重要なお知らせ」といった電話がかかってくるケースもあります。役所や大手企業が電話やSMSで直接支払いを求めることはありません。不審な場合は無視するか、自分で公式番号にかけ直して確認しましょう。
14. モバイル送金アプリ詐欺
「お金を返すから」「払い戻しをする」と言ってQRコードをスキャンさせ、実際には送金手続きになってしまう仕組みを悪用する詐欺もあります。オーストラリアではPayIDやBeem Itなどの送金サービスが普及しており、こうした便利さを逆手に取る手口が増えています。特にSNSや売買サイトを通じた個人間取引で発生しやすく、「ちょっと試してみて」と自然に装って送金操作をさせられるケースが多いです。
こうした被害を避けるには、送金を求めてきた相手が確実に知っている人物かどうかを必ず確認することが重要です。知らない人やネット上でしかやり取りしていない相手からQRコードを提示された場合は絶対に対応しないようにしましょう。もし少しでも不審に感じたら、その場で送金せず、公式アプリから取引履歴を確認するなど冷静に判断することが大切です。
15. マーケットプレイス詐欺
Facebook MarketplaceやGumtreeなどの売買サイトでは、個人同士の取引を悪用した詐欺が多発しています。買う側では「送金してくれれば商品を送る」と言われてお金を払ったのに商品が届かないケースがあり、逆に売る側でも「送金済み」と偽のスクリーンショットやメールを見せられ、商品を渡した後に実際は入金されていなかったという被害が報告されています。つまり、買う時も売る時も注意が必要です。
特に高額商品、なかでも車の売買には要注意です。試乗を装って車を持ち逃げされたり、支払いを偽装してそのまま車を盗まれたりする事件がメルボルンでも実際に起きています。相場より極端に安い価格を提示された場合も危険信号です。
安全に取引するためには、必ず対面で現金と商品を交換し、できれば銀行振込が確定したことをその場で確認しましょう。最近では一部の警察署に「Safe Exchange Zone(安全取引ゾーン)」が設けられており、防犯カメラがある場所で安心して受け渡しができます。相手が警察署や公共の場での取引を拒む場合は、その時点で取引を中止するのが賢明です。
被害を防ぐための心構え
詐欺師は人の心理を巧みに利用します。「急がないと大変なことになる」「困っている人を助けてほしい」と不安や同情を誘い、冷静な判断を奪おうとします。そんな時こそ立ち止まり、確認する習慣を持つことが大切です。
- 不審な電話やメールは無視・削除する
- 「今すぐ対応しないと」と急がせる相手ほど疑う
- 前払いを求められたら一度立ち止まる
- 支払いは必ず公式のアプリや公式口座を利用する
- 一人で判断せず、家族や友人に相談する
相談・通報先について
オーストラリア政府の Scamwatch(ACCC=オーストラリア競争・消費者委員会が運営)では、最新の詐欺情報や被害の報告窓口が提供されています。被害に遭った、または怪しいと思った場合はここに報告すると、同じ被害を防ぐ助けになります。
Scamwatch公式サイト:https://www.scamwatch.gov.au
また、もし金銭的な被害が出てしまった場合は、まず 地元警察(Police) に通報するのが基本です。大きなトラブルや安全面で不安がある場合は、在メルボルン日本国総領事館に相談するのも有効です。日本語で事情を説明できるので安心感があります。
在メルボルン日本国総領事館:https://www.melbourne.au.emb-japan.go.jp/
一人で抱え込むと判断を誤りやすいため、必ず家族や信頼できる人に相談しながら対応するようにしましょう。