オーストラリア・メルボルンには、日本ではあまり知られていないけれど、現地の人々にとっては日常的な定番フードがたくさんあります。
パン屋、マーケット、魚屋、フードトラック、パブなど、さまざまな場所で気軽に味わえるローカルグルメをご紹介します。
旅行中に一度はぜひ食べてほしい、メルボルンならではの定番フードをまとめました。
ミートパイ(Meat Pie)

オーストラリアの定番ローカルフードといえば、まず思い浮かぶのがミートパイです。サクサクのパイ生地に、牛ひき肉をベースにしたグレイビーソースがたっぷり詰まった熱々の軽食で、手のひらサイズの丸い形が特徴。コンビニやベーカリー、フットボールスタジアム、サービスエリアなど、どこでも手軽に手に入ります。
もっともポピュラーなのはBeef Pie(ビーフパイ)ですが、ほかにもマッシュルーム入り、チーズ入り、チキン&リーク(鶏肉とネギ)、ビーガン対応のものまでバリエーションは豊富です。近年は高級志向のGourmet Pie(グルメパイ)も人気で、オーガニック食材や地元産肉を使ったクラフト系も登場しています。
オーストラリアでは、このミートパイにケチャップ(トマトソース)をたっぷりかけて食べるのが定番スタイル。パイの上に直接ソースを絞って丸かじり、というワイルドな食べ方が一般的です。お皿もフォークも不要で、片手で手軽に食べられるという気軽さも人気の理由。
現地ではPie FaceやFour’N Twentyなどのブランドが有名で、スーパーでも冷凍タイプが多数販売されています。日本のコンビニ肉まんのような感覚で、小腹が空いたとき、ランチ代わり、フットボール観戦のお供にもぴったり。オーストラリアらしいB級グルメを体験したいなら、まずはミートパイを試してみてください。
ポテトケーキ(Potato Cake)

ポテトケーキは、オーストラリアのフィッシュ&チップス店でほぼ必ずと言っていいほど見かける、じゃがいもを使った定番の揚げ物スナックです。日本ではあまりなじみのない存在ですが、オージーにとっては子どもの頃から慣れ親しんだB級グルメ。安くて、シンプルで、クセになる美味しさが魅力です。
使うのは、ごく普通のじゃがいも。これを厚めにスライスして衣をつけ、油でカラッと揚げたものがポテトケーキです。味付けは基本的に塩だけ。衣はやや厚めで、外はサクッ、中はホクホク。油でしっかり揚げるので香ばしく、1枚でも意外と満足感があります。価格は1枚$1〜2程度と非常にリーズナブルで、学生のおやつやランチのサイドメニューとして定番です。
名前は地域によって若干異なり、ビクトリア州(メルボルン)では「Potato Cake」と呼ばれますが、ニューサウスウェールズ州(シドニー)などでは「Potato Scallop」や「Potato Fritter」と呼ばれることも。オーストラリア内でも微妙に違う呼び方をめぐって、SNSで論争になることもしばしばです。
フィッシュ&チップス店で注文する場合、Fish(白身魚のフライ)とChips(フライドポテト)を基本に、追加でポテトケーキを1〜2枚頼む人が多く、定番セットの一部として認識されている存在です。タルタルソースやチリソースなどをかけて食べるのが人気(お酢をかけるのもおすすめ!)。お店によってはハンドカットの大ぶりポテトを使っていたり、サクサク食感にこだわったりと、地味ながら個性が光る一品でもあります。
見た目は素朴ですが、オーストラリアでしか味わえないローカルスナック。日本で例えるなら「さつまいも天」と「フライドポテト」の間のような存在です。食べ歩きにもぴったりなので、ローカルの味を試したい方はぜひチャレンジしてみてください。
アボカド・オン・トースト(Avocado on Toast)

メルボルンのカフェ文化を語るうえで欠かせないのが、この「アボカド・オン・トースト」。全粒粉やサワードウのトーストに、つぶしたアボカドをたっぷりのせて、塩、レモン、チリフレーク、オリーブオイルなどでシンプルに味付け。素材の良さを活かした、ヘルシーかつ満足度の高い一品として、地元民はもちろん旅行者にも大人気です。
日本ではあまり見かけないこの料理、実はメルボルンではブランチの定番中の定番。朝のコーヒーと一緒にゆったり楽しむブランチ文化を象徴する存在でもあります。地元のカフェでは、アボカドの上にポーチドエッグやフェタチーズ、スモークサーモン、ミニトマト、ザクロ、ミントなどをトッピングして、それぞれのお店ならではのアレンジが楽しめます。
栄養価が高く、見た目も鮮やかで、味もさっぱり&クリーミー。観光中の朝食に取り入れると、メルボルンらしい一日がスタートできるでしょう。
バインミー(Banh Mi)

バインミーとは、ベトナム発祥のサンドイッチで、フランス植民地時代の名残を残すバゲットに、ベトナム風の具材を挟んだハイブリッドな一品。オーストラリアでも非常に人気があり、特に移民の多いメルボルンでは、街角のカフェやベーカリーで気軽に楽しめるローカルフードとして定着しています。
特徴的なのはその中身。基本は、パテやハムなどの肉類をベースに、なます(甘酢漬けの大根とにんじん)、パクチー、きゅうり、チリ、マヨネーズなどを挟んだ彩り豊かな構成。最近ではグリルチキン、レモングラスビーフ、焼き豚、ベジタリアン向けの豆腐など、具材のバリエーションも豊富です。価格は$8〜15程度と手頃で、ランチや軽食として人気があります。
メルボルンでは、フッツクレイ(Footscray)やスプリングベール(Springvale)、リッチモンド(Richmond)など、アジア系住民が多いエリアに特に名店が集中。なかでも地元民から愛される「Nhu Lan Bakery(ヌーラン・ベーカリー)」は、行列ができるほどの人気で、初めて食べる人にもおすすめです。
バインミーの魅力は、サクサク軽いフランス風バゲットと、さっぱりとしたベトナム風の具材が絶妙にマッチすること。しかも野菜もたっぷりでヘルシー。ボリューム満点なのに重すぎず、忙しいオフィスワーカーや学生にもファンが多いのがうなずけます。
日本ではまだそこまで浸透していませんが、メルボルンでは“タコス”や“ピタパン”のような感覚で親しまれている、リアルなローカルフードのひとつ。カフェやアジア系ベーカリーを巡って、自分好みの一品を見つけてみるのもおすすめです。
ディープフライド・ディムシム(Deep Fried Dim Sim)

ディムシムと聞くと中華料理を思い浮かべるかもしれませんが、オーストラリアのディムシムはちょっと違います。 特にディープフライド・ディムシムは、メルボルンを中心としたビクトリア州発祥のローカルスナックで、その独特の存在感とジャンキーな美味しさで、多くの人に愛されています。
このフードの起源は1940年代、メルボルンの中華系移民によって考案されたといわれており、「Dim Sim」という名前も、広東語の「点心(dim sum)」から来ています。見た目はジャンボ餃子のようで、通常の焼売よりもずっと大きく、厚い皮でしっかりと包まれているのが特徴。
具材は、豚肉のミンチにキャベツ、春雨、生姜やニンニクなどを混ぜたものが一般的。それをしっかり包み、油でじっくり揚げて、カリッとした黄金色に仕上げます。ひと口かじると、中からジューシーな肉汁がジュワッと広がり、外のカリカリ食感とのギャップがクセになります。
このディムシム、特にメルボルンのフィッシュ&チップス店でよく売られており、「ポテトケーキ」と並ぶ定番サイドメニューの一つ。サイズが大きめなので1〜2個でも満足感があり、ソース(トマトソース、スイートチリソース、またはお醤油)をつけて食べるのが一般的です。
また、意外と知られていませんが「蒸しタイプ(Steamed Dim Sim)」もあります。こちらはふんわりした皮が特徴で、ディープフライとは全く違った優しい味わい。ローカルのアジアンデリやスーパーで冷凍のものも手に入り、自宅で楽しむ人も多いです。
ローカルでしか食べられない不思議なソウルフードとして、初めて食べた日本人には驚かれることも多いですが、実はメルボルンっ子にとっては「学校帰りのおやつ」「ランチのお供」的な存在。地元の味を知るなら、ぜひ一度この独特なディムシムにトライしてみてください。
チキンパルマ (Chicken Parma)

チキンパルマ(またはチキンパルミジャーナ)は、オーストラリアのパブ(Pub)で最も愛されている定番料理のひとつ。「とりあえずパルマにする?」が合言葉になるくらい、地元の人たちの間では王道の一品です。 メルボルンの多くのパブではメニューの一番上に載っていることも多く、週替わりスペシャルになることもしばしば。
起源はイタリア系移民によって持ち込まれたパルミジャーナ(parmigiana)という料理で、本来はナスなどの野菜をトマトソースとチーズで焼いたものでした。それがオーストラリアに渡り、鶏の胸肉を使ったフライにアレンジされたのがチキンパルマです。
調理法はシンプルですが、ボリューム満点。パン粉をつけて揚げたチキンカツに、濃厚なトマトソースととろけるチーズ(モッツァレラやチェダー)をたっぷりのせてオーブンで焼き上げるのが定番。そこにサイドとしてチップス(フライドポテト)とサラダがつくスタイルが一般的です。
お店によっては、トッピングにハムをのせたり、バーベキューソースで仕上げたり、ピリ辛アレンジを加えたりと、バリエーションも豊富。「ここのパルマが一番うまい」と語る地元民も多く、“ベスト・パルマ・ランキング”がローカルニュースサイトで特集されるほどの人気ぶりです。
価格は$20〜30が相場。ボリュームがあるので、しっかりお腹を空かせてから挑むのがおすすめ。お酒との相性も抜群で、ビールやサイダーと一緒に楽しむのがオーストラリア流。また、ベジタリアン向けにナスやカリフラワーを使ったパルマも最近は増えてきています。
メルボルンに来たら一度は味わってほしい「ザ・オージーな食事」。日本で言えば「カツ丼」や「ハンバーグ定食」のような安心感のある存在で、どこで食べても外れが少ない、間違いない一品です。
ソーセージロール(Sausage Roll)

オーストラリアの学校やオフィス、ベーカリーでよく見かける国民的スナック、ソーセージロール。名前の通り、ソーセージをパイ生地で包んで焼いたものですが、実際にはひき肉や香辛料を混ぜた肉だねを使った“ロール状のミートパイ”といった感じの、シンプルながら奥深い一品です。
見た目は小ぶりでも、中はぎっしり詰まったジューシーなミートフィリングと、サクサクのパイ生地が絶妙にマッチ。焼きたてを頬張ると、バターの香りと肉汁のうま味が口いっぱいに広がります。ひとつで軽食、2〜3個でしっかりランチになるボリューム感も人気の理由。
オーストラリアでは子どもの頃から親しんでいる人も多く、学校内の売店(Canteen)やスポーツイベントの売店などで定番の軽食。ベーカリーやカフェ、スーパーでも温かい状態で販売されており、いつでもどこでも気軽に買えるのも魅力です。
特にメルボルンでは、The Village Baker や Ferguson Plarre、Rustica などのベーカリーで“こだわりのソーセージロール”が味わえると話題に。中にはラムミート使用やチーズ入り、カレー風味、ヴィーガン対応など、多彩なアレンジを取り入れる店も増えてきています。
そして忘れてはいけないのがトマトソース(ケチャップ)。オージー流の食べ方は、これをたっぷりつけて頬張るスタイル。「ソースなしは考えられない!」という人もいるくらいです。
日本ではあまり馴染みのないソーセージロールですが、メルボルンでは老若男女に愛されるリアルなローカルフードのひとつ。パン好きな方やパイ系のスナックが好きな方には特におすすめです。カフェでコーヒーと一緒に、ローカル気分を味わってみてはいかがでしょうか?
ラミントン(Lamington)

ラミントンは、オーストラリアで古くから親しまれている国民的スイーツ。一見シンプルな見た目ながら、スポンジケーキにチョコレートソースをたっぷり絡め、ココナッツをまぶしただけのスイーツは、どこか懐かしく、素朴な甘さでローカルに愛されています。
起源は1900年代初頭、クイーンズランド州の総督だったラミントン卿(Lord Lamington)にちなんで名付けられたと言われています。彼の使用人が急な来客に即席で用意したお菓子が、偶然この形になったという逸話があるほど、オーストラリアらしい“ゆるくて美味しい”エピソードが詰まったスイーツです。
食感は、ふんわりとしたスポンジの柔らかさと、外側のシャリッとしたチョココーティング&ココナッツの歯ざわりのコントラストが絶妙。中にジャムやホイップクリームを挟んだバージョンも人気で、ベーカリーやカフェごとに微妙に異なるレシピが楽しめます。
特にメルボルンでは、ローカルベーカリーやマーケットで手作りのラミントンを見かけることが多く、質の高い逸品が揃っている印象。Queen Victoria Marketのスイーツスタンドや、田舎町のカントリーベーカリーで買うラミントンには、どこか郷愁を感じる味わいがあります。
日本ではなかなか見かけないラミントンですが、実は学校や職場のバザー、チャリティイベント、カフェの定番ケーキとして出てくる“ザ・オーストラリアン”な存在。「ラミントン・デー(National Lamington Day)」という記念日まであるほど、多くの人にとって思い入れのあるお菓子です。
「甘すぎるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、チョコが甘すぎず、ココナッツの香ばしさ、そして軽いスポンジのバランスが良く、意外と軽く食べられるのが魅力。コーヒーや紅茶とも相性が良く、午後のティータイムにぴったり。
メルボルンでスイーツを楽しみたい方には、ぜひ試していただきたい一品です。
まだまだある、メルボルンの美味しいローカルグルメ
今回ご紹介したのは、メルボルンで暮らす人々や旅行者に長く親しまれている、定番ローカルフードの一部にすぎません。実際には、これら以外にも街のベーカリーで見つかる季節限定のペイストリーや、マーケットで味わえるグルメバーガー、家庭で代々受け継がれてきた手作りスイーツなど、知られざる美味が街中にあふれています。
メルボルンの魅力は、その多文化の融合から生まれる“食の自由さ”。ローカルに根づいた伝統的な味から、新しい食文化を取り入れたフュージョン系まで、食を通じてこの街の個性を存分に味わうことができます。
旅の途中でふと立ち寄ったカフェや、地元民に混ざって買い物をするマーケットの一角で、ぜひあなただけの“メルボルンの味”を見つけてみてください。